1回目は代表的なテレビ局であるNHK(公共放送)とキー5局合計(民間放送)に分類し、各々の傾向を分析します。
① 年度別の推移
まずは毎年の採用人数と、その出身大学の内訳を見ましょう。
図1 NHK 出身大学別入社採用の内訳推移(2002~15年度別)
図2 キー局 出身大学別採用人数の内訳推移(2002~15年度別)
(出所) 『サンデー毎日』各年度版より筆者集計・作成 ※2003年度はデータなし(両図) (注)2013年度のテレビ東京の採用者人数は不明
NHKは毎年250~300人、キー局は5局合計で150人前後を採用してます。NHKは単体で全キー局総計の2倍近い人数を採用していることになります。キー局は1局当たり30人前後の採用と推測されます。民放は2011年頃に採用人数を大幅に減らし、NHKも2008~9年にダウンしますが、以降は回復基調です。キー局はリーマン・ショックによる業績不振の影響だと思われ、採用人数は経営状況を反映していると考えられます。その際、「その他大学」が大きく数を減らしているのも特徴です。
② 大学別の割合
次に10年間の総計での出身大学別の比率を分析します。
図3 NHK 出身大学別入社人数の内訳構成(2002~15年総計)
図4 キー局 出身大学別入社人数の内訳構成(2002~15年総計)
(出所)
『サンデー毎日』各年度版より筆者集計・作成 ※2003年度はデータなし(両図) (注)2013年度のテレビ東京の採用者人数は不明
東京の主要大学(東大、一橋、東工、早稲田、慶応、GMARCH)出身でキー局の6割、NHKの約半分を占めます。中でも、NHKの3人に1人(32%)、キー局の2.5人に1人(40%)は早慶上智の出身です。早・慶の2大学は特に多く、それぞれの単体数でもGMARCHの合計数より入社者が多いです。民放キー局では慶應>早稲田、NHKでは早稲田>慶應という特徴が見られます。
③ 卒業生数に占める出身者の割合
最後に、大学別の卒業生数に占める就職者数の割合を見ます。母数の多い私大と、少ない国立大との実績ベースを比較することで、卒業生のうちどれだけがテレビ局に就職しているかを確認します。
図5 NHK・キー局就職者数と卒業者数全体に占める割合(2002~15年計)
(出所) 『サンデー毎日』各年度版より筆者集計・作成 ※2003年度はデータなし(両図) (注)2013年度のテレビ東京の採用者人数は不明
卒業生数に占める就職者数の割合で見ると、キー局は慶應が最も高く(0.57%)、NHKは一橋が最も高い(0.82%)です。東大・一橋・早稲田・慶應の4大学の水準は他大と比較して高いと言えます。しかし、最高でも1%に到達する大学はなく、就職者の割合は100人に1人未満となっています。
まとめ
都内の大学の卒業生が多いのは事実ですが、単純に都内の大学生数が多いことが起因しているように感じます。また、準キー局など他地域の局では異なる結果が得られるかもしれません。民放では慶應、NHKでは早稲田出身が多いようです。ですが、両大学とも母数が多いため、NHKの率では一橋が早稲田を上回っております。決して大学名が全てではありませんが、キー局やNHKへの就職を考えている人がいれば、東大・一橋・早稲田・慶應辺りを目指すと良いかもしれません。
次章では、各キー局の分析を行いたいと思います。